馬渕睦夫氏が語る、なぜプーチンが世界のメディアで悪者になっているのか

「ひとりがたり馬渕睦夫」#4 〜米露関係の真実・ウクライナ危機から読み解く・鍵はネオコンから文字起こしです。

※文字起こしは不正確である可能性があります。


(前略)

プーチン大統領が、なぜ今、主としてメディアですが、それ以外にも知識人と言ってもいいですし、多くの政治の世界と言ってもいいんですが、なぜプーチン大統領が悪者になっているのかということなんですね。実は、これは日本のメディアもそうなんですが、プーチンが世界の撹乱要因だと、あるいは今の国際秩序の挑戦者だという論調で一致しているわけですね。しかしそれは必ずしもそうでないということを、(ひとりがたりの)4回目はそのお話を中心に申し上げたいと思うんですね。

なぜプーチン大統領が今世界の悪者になっているのかと。その原因っていいますか、その源はウクライナ危機にあるわけなんですね。ウクライナ危機っていうのは、今やメディアを賑わすことが少なくなりましたんで、覚えている方も少ないんでしょうけれども、2013年の晩秋ですね。

当時のヤヌコビッチという親露派と言われておりましたが、その大統領の、反ヤヌコビッチ運動であったわけですが、直接的な契機になったのがEUとの連合協定って言ってましたけどね。EUとのそういう協定を巡る戦いといいますか、動きだったわけですね。その時にヤヌコビッチ大統領もEUとの関係を強化する協定に調印する用意をしていたんですが、EU側が、いろいろ調べてみますと、そのハードルを少しづつ少しづつ上げてきたということですね。調印にあたっては、ヤヌコビッチ大統領の政敵であったティモシェンコ元首相、その時は収監されていたわけですね。そのティモシェンコを釈放しろという事がその条件に入っていたわけですね。

これはヤヌコビッチ側からすれば、政敵であるとはいえ、いろんな事情でちゃんと裁判を受けて収監されたティモシェンコを釈放しろということは、言わばウクライナの法律を曲げることになるわけですね。しかもEUによる内政干渉だと。あからさまな内政干渉なんですが、それはどうしても飲めない条件だったわけですね。そうこうしている内に、ロシアの方が、ではEUの方が連合協定を結んだ後に予定されていた経済支援を、ロシアが肩代わりしようと。こう言ったと言われているんですが、そういうことでヤヌコビッチも色んなEUの条件、それに嫌気がさしたと言いますか、それでEUとの連合協定の署名を中止したということが契機になったと言われているんですね。

そこからデモが始まるわけなんですが、実はウクライナにおける反政府デモというものは、私が2008年まで3年間、日本のウクライナ大使をやっておりましたけれども(※馬渕睦夫氏は2005年より駐ウクライナ兼モルドバ大使を三年間務めた)、その時に経験した色々なウクライナの政治状況と比べて、明らかに異なる点があったんですね。それはどういう事かというと、非常に暴力的なデモであったということなんです。暴力的なデモであったという、その一つの原因はですね、2013年から2014年にかけてかなり力を得てきた右派勢力というのがあるんですね。この右派過激派勢力が、いわゆる民主化と称するデモ、反ヤヌコビッチ大統領デモに参加してきたということですね。それでデモが相当暴力化したという事情がありました。

実はそれだけではなくて、決定的にウクライナ危機を特徴付けたのは、アメリカのネオコン勢力が絡んでいたということですね。この事はもちろん、アメリカのメディアも、日本のメディアも、ヨーロッパのメディアも正面からは取り上げないんですが、その傍証といいますか、実際に起ったことを丹念に組み立てていきますと、明らかにアメリカのネオコン勢力、ネオコンというのは、新保守主義者と言われていますが、ブッシュJrの時代のアメリカ外交を担っていた勢力ですが、そういう人たちは基本的にはオバマ大統領の時にも、アメリカ外交の背後に在ったんですが、(略)、ネオコンが今申し上げたようなウクライナの反政府デモを主導していたということですね。

この事を我々はまず理解しなければならないんです。それは実は証拠は挙がっているわけですね。もうウクライナ危機は四年前の話ですから、今やほとんど世界の世論は関心を持たないんですが、実はその時にウクライナのデモを背後から主導してたってのが、アメリカのネオコン勢力だったわけです。実はアメリカの国務省がですね、対外関係の役所ですが、国務省の東欧担当の次官補というのがいるんですが、トップですね。ビクトリア・ヌーランドという女性なんですけれども、彼女は著名なネオコンの闘士だったわけですね。

ビクトリア・ヌーランドという女性の、アメリカの国務次官補ですよ、その結婚相手はロバート・ケーガンっていうこれまたネオコンの論客の一人だったわけですね。そのビクトリア・ヌーランドが何のことは無い、民主化勢力といいますか、反ヤヌコビッチ勢力と一緒にデモをしていたんですね。そのことは映像になって世界に流れてるんです。私もその映像見ましたけれども、彼女は反政府のデモ隊にクッキーを配って(笑)一緒にデモをしていた。そういうことが明らかになっているにもかかわらず、メディアはそのことに注目しないんですね。

決定的な証拠、ネオコンがこの反ヤヌコビッチデモの背後にいた決定的な証拠というのは、そのヌーランド国務次官補が、当時のアメリカの駐ウクライナ大使、パイアット(Geoffrey R. Pyatt)ていう大使ですが、と電話会談をして、ヤヌコビッチを追放した後の政権はヤツェニュクにしようという話をしているわけです。ヤツェニュクというのはウクライナの政治家で、ヤヌコビッチを追放した後の暫定政権の首相になった人ですが、ヤヌコビッチを追放した後のウクライナ政権構想というのは、実はアメリカが立ててたということですね。これだけ証拠が揃っているわけです。しかもこの電話会談の模様はユーチューブにすっぱ抜かれて、アメリカの当時の国務省もそういう会談があったということは認めてるわけですね。これだけはっきり証拠が揃っているわけです。

つまりアメリカンのネオコン勢力が、ヤヌコビッチ追放となったウクライナの民主化デモを主導したわけですね。で、その背後にあった一人が皆さんもご存知のジョージ・ソロスなんです。ジョージ・ソロスは当初から、このデモが「民主化デモだ、民主化デモだ」という事をことあるごとに強調しておりましたね。

そうして2014年の2月、ヤヌコビッチ大統領が結局逃亡して、暫定政権ができたんですがね。その暫定政権は何をやったかというと、ロシア人の排撃を始めたんです。これは私のウクライナにおける経験から言っても異常な出来事だったわけですね。当時から、私が居る時から、というかそもそも東西冷戦が終わって、ウクライナが独立した時から、ロシア系の住民というのはかなり住んでいたわけです。全土で三割近くいたとも言われていますが、そのロシア系住民を排撃し始めたわけです。

これは新しい事なんですね。従来もウクライナの人々は、ロシア系の人々に対して複雑な感情は持っておりましたが、彼らを力づくで排撃しようとか迫害しようとは思わなかったわけですね。色んな事情がありますけれども、隣国のロシアの関係というものは維持せざるを得ないと、ウクライナの経済を成り立たせる上では維持せざるを得ないと。そういう状況だったわけですね。だから、それはウクライナの人たちもわかっていたわけです。

ですから私が居る時には親欧米派の大統領でしたけれども、その元でもロシアとの関係は微妙なものがありましたけれども、決してそういう過激な行動には移ることは無かったわけですね。ところが、今申し上げている、いわゆるウクライナ危機で政権に就いた新政権は、ロシア人を表から排撃し始めたわけです。オデッサの虐殺ということもありますが、色んな所でロシア系住民が虐殺されたり、迫害されたりしてきたということですね。

その状況を見て、果敢に反応したのがプーチン大統領だったわけです。で、クリミアの人口の少なく見積もっても六割はロシア人だったわけですね。そうすると反ロシアの、ロシア人迫害を始めた暫定政権がクリミアのロシア人にどういう態度をとるかということは、誰の目にも明らかだったわけですね。ですから、実際に行動を移したのはクリミアに居るロシア系住民であったと思うんですが、もちろんそれは、陰に陽にロシアが背後から支援したことは支援したと思います。

で、それで皆さんもご存知の通り、いわゆる住民投票というものを3月にやって、そしてその結果として、ロシアへの編入を要望し、それにプーチン大統領が応えたというのが、いわゆるロシアの編入なんですね。ロシアから言わせてみれば、これはクリミア半島の編入になるわけですね。これを西側メディアに言わせてみれば、併合になるわけですね(笑)。軍事力をちらつかせて併合したということになるんですが、これをもって米ロ関係が一気に事実上の冷戦関係になったわけなんですね。

で、アメリカのオバマ大統領はただちにロシアに対する制裁を発動すると。それに対してヨーロッパも付き合い、日本もある意味でつきあわされたんですな。そういう状況になったわけなんですね。しかしこの編入の事実をもって、プーチンが軍事的にクリミアを併合したというイメージが世界に流れて、プーチン悪者説っていいますかね、国際秩序の撹乱者というようなイメージが作られてきたわけなんですね。

で、今基本的には、アメリカのメディアもそうですが、日本のメディアも、産経新聞に至るまでその姿勢で一致しているわけですね。実に面白いことに、個人的に産経新聞に寄稿している方を云々することではありませんが、産経新聞にしても基本的なスタンスであろうと、そういうことを伺わせる、なんていいますかね、コラムがあったんですが、これは7月15日付けの産経新聞に、まぁ産経新聞は「新聞に喝!」というコラムがあるんですがね、そこに私もよく知らない方なんですが、蓑原俊洋という、神戸大学の大学院の教授らしいんですけども、その方が書いておられるんですけどね、それは一言で言えば、「もっと日本はロシアの脅威に注意を向けるべきだ」ということなんですね。日本の保守系の人は、中国は批判するけれどロシアは批判しないと言って、批判しているわけですね、その日本の態度をね。

ロシアと中国を同列に置いて、ロシアに対してもロシアの脅威をもっと認識すべきだということをおっしゃっているんですが、彼が根拠にしているのが今申し上げたクリミア半島の、「侵略併合」と彼は言っているんですけどね(笑)、それになるわけなんですね。

↓続きは動画で御覧ください。

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