池田信夫氏が説明する社会保険料と消費税に対する反応の違い

アゴラチャンネルの間接税はなぜきらわれるのかから文字起こしです。

※文字起こしは不正確であることがあります。


フランスでは、黄色いベストと呼ばれる街頭行動と言いますかね、暴動が連日起こって、100万人を超える規模だと言われてますよね。で、彼らの主張はもう一つはっきりしないんだけれども、一番大きな共通の主張は、燃料税の引き上げというマクロン大統領が決めた政策に反対すると。来年4月から予定されていたわけなんですけども、この暴動に屈服するようなかたちで、マクロン政権はこの燃料税の実施を延期するという事を発表しましたね。

何でこの程度の話にこれだけの暴動が起きるのかってのは、ちょっとわかんないとこ有って、まぁフランスはこういう街頭行動が割と好きな国ですけども、規模としては1968年の5月革命以来だと言われているんですよね。これはフランス特有のある種の事情もあるのかもしれないけども、この燃料税を引き上げるっていうのは、マクロン政権の中核の政策なんですね。

彼は地球温暖化に対してフランスがリーダーシップを取らなきゃいけないという風に考えていて、他方で燃料税の引き上げと同時に、法人税の引き下げをやるんですね。これも当たり前で、アメリカの法人税が20%に下がったら、ヨーロッパも下げないと企業がどんどんアメリカに逃げてくってことが起こるわけだから。

こういう風に法人税を下げて、間接税を上げると。特に燃料税のような、炭素税に近いものですね。炭素税ってのも、各国で色々言われてるんだけども、なかなか反対が多くてできないと。

で、マクロン大統領の政策そのものは合理的なんだけど、反対している人たちは頭が悪いと言うことを僕がツイッターで書いたら、意外な事にいっぱいそれに対して、反論というか反応が来て、とにかく日本でも来年消費税上がるというのは嫌だと。まぁそういう消費税の話なんだけど。

これもね、ちょっとわかんないところがあって、消費税が8%から10%に上がる程度のことはね、世界的に見たら大した話じゃないわけ。ヨーロッパのVAT(付加価値税)なんて大体20%以上ですからね。日本がようやくその半分になるかならないかという程度の話で、税制全体から見ても、社会保障っていうのを考えると社会保険料の負担ってのはね、大体もう標準的な世帯で30%くらい取られてるわけですよ、サラリーマンだと。所得に対してね。

で、消費税8%が10%になる程度の事でこんなに騒ぐんだったら、社会保険料の30%って何で騒がないの?っていう話を僕がすると、みんな黙っちゃうわけ。

大体ネトウヨが多いんだけど、ネトウヨって目の前の毎日買い物する8%が10%になるってことくらいは計算できるらしいんだけど、社会保険料、そもそもそういうの払ってない人も多いのかもしれないけど、社会保険料が30%だってこと全然気が付かないわけですよ。

これがね、やっぱり間接税っていうのが嫌われる一つの原因だと思うんですね。消費税って物を買うたびに、今だったら8%乗っかってきて、税金払ってるなって感じあるんだけど、社会保険料なんて天引きで源泉徴収票に出てくるだけだから、サラリーマンでも余程源泉徴収票をちゃんと読まないと分からないですね。

ましてや一般のネトウヨなんかそんなの全然知らないから。規模としては所得税というのも、消費税と同じくらい大きいわけですけども、これも天引きで取られること多いから、分かりにくいと。

要するにね、公明党が面白い言葉使った、痛税感ってね。税が痛いかどうかってことで、税金に対する反感が決まっていく。社会保険料みたいにものすごい莫大に取られてても、天引きで取られちゃう、しかも企業と折半しているというフィクションになってる、これも間違ってるわけ(笑)。企業にとっては、社会保険料の事業主負担というのは、労働者の人件費ですからね。最初からそれをコストに乗せて計算してるから、実は労働者は100%負担してるのと同じことなんですよ、あれ。

↓続きは動画で御覧ください。

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