藤井厳喜氏が語る米中貿易戦争の本当の意味

2018年10月3日(水)の虎ノ門ニュースより。コメンテーターは藤井厳喜氏と井上和彦氏です。

※文字起こしは正確でない可能性があります。


藤井厳喜 「中国艦船が異常接近」っていうのと「中国 米との安保対話中止」。これは2本続けていきましょうか。

居島一平 わかりました、まいりましょう。これはですね、南シナ海の危機ですね。「中国艦船が異常接近 航行の自由作戦の米艦に」、一方「中国はアメリカとの安保対話中止」と二本立てで深入りまいりましょう。

※参考

【ワシントン共同】米太平洋艦隊は1日、中国が実効支配する南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺で9月30日、「航行の自由」作戦を実施していた米イージス駆逐艦に中国軍の駆逐艦が異常接近したと明らかにした。中国の駆逐艦は約41メートルの距離まで近づいたという。

米海軍は9月30日、「航行の自由」作戦の一環として中国がジョンソン南(中国名・赤瓜)礁とガベン(南薫)礁を埋め立てて造った人工島の12カイリ(約22キロ)内でイージス駆逐艦「ディケーター」を航行させた。

米太平洋艦隊によると、中国側の駆逐艦は複数回にわたり「攻撃的な」接近を繰り返した。

【ワシントン共同】ロイター通信などは9月30日、米当局者の話として、米中両国が今月予定していたマティス米国防長官の北京訪問と安全保障対話を中国が中止したと伝えた。両国間の「緊張が高まっていること」が理由とされ、日程が再調整されるかどうかは不明という。

通商問題を発端に安全保障面でも冷え込んでいた両国関係が一層悪化した形だ。

中国との貿易不均衡に不満を募らせるトランプ米大統領は9月26日、国連安全保障理事会の会合で、米国の中間選挙に中国が介入しようとしていると非難。中国の王毅国務委員兼外相は「根拠のない非難」だと反発していた。

藤井厳喜 チャイナがですね、アメリカの中間選挙に介入しているのは事実です。これは表に出たところではですね、新聞の広告ページを買ってるんですよね。アイオワ州州都がデモインというんですけれども、デモイン市に新聞があると。そこにですね、4ページのチャイナ・デイリーという、実際は中国の国営新聞ですよね、英字新聞。それがページを買い取るんですよ。買い取って、「チャイナ政府の、中国共産党政権のアメリカ国民に対する訴えです」とかね、「関税やめてくれ」とか出るならわかるんだけど、要するに、記事と全く同じように見える宣伝広告ページってありますよね?下に小さく「宣伝」って書いてあるみたいな。それとほとんど一緒のようなことをやるわけです。

NYタイムズなんかもページを売ってるわけですからね。それにあたかも記事仕立てで、今の高関税ですね、米中の貿易戦争っていうのはアメリカ国民にとってもマイナスだ、特にあそこら辺、中西部の農民ですよね。特に大豆を作っている農家なんてのは、大豆をチャイナにいっぱい売ってますから、これをチャイナが買わないとなると、確かに今ダメージを受けてるんです。そういうようなことをやって、あそこら辺は、中西部の農民ってのはアメリカ共和党にとっては大変な票田なんですよ。支持者なんですよ。それを減らそうということを堂々とやっているというのは、これね、トランプさんが自分のツイッターでね、こんなことやってるぞと。これ選挙干渉じゃないかという風に言いましたけど、正々堂々たるというか(笑)、表に出ている選挙干渉ですよね。

でね、よくしたり顔のエコノミストがね、二国間の貿易を均衡させようなんておかしいとかね、経常収支の赤字を減らそうなんたって思うようにいかないんだって言うけどね、それはそういう貿易問題じゃないんですよ、トランプが言ってるのは。何かと言うと、チャイナという国があって、これは共産党独裁政権でそれが世界の覇権を握ろうとしていると。アメリカの覇権を奪おうとしてるんだと。そしたらこの自由世界はどうなっちゃうんだということなんですよね。その、彼ら(チャイナ)の軍拡、軍事的にも力を伸ばしてきている、その元になってんのは何かというと経済成長だと。

経済成長っていうけどそれは何なんだって言ったら、要するに米ドルを稼ぐ力なんですよ。米ドルを外国行って、物をドンドン輸出して、そしてまた稼ぐ。その力を基盤にして軍事的な拡張政策、さっき言った南シナ海なんかでも軍事的な冒険政策も平気で打ってくる。公の海、公海である南シナ海を全部自分の領海にしようなんてとんでもない事をね、国際法違反も甚だしい事をやってるということなんですね。

しかもその外貨を稼ぐ力というのが、ちゃんと世界の貿易ルールを、公正な貿易のルールを守って稼いでるならアメリカも文句は言えないよということなんですけど、そうではなくて、特許の問題とか知的所有権の問題とかをWTOのルールなんかを一切無視して、盗んでくる、あるいはチャイナマーケットに進出させてやるから、お前その技術を移転しろと無理やりですね、政治的にそういう知的所有権を奪っていくという不公正な事をやって経済力を伸ばしてきたじゃないかと。

これが基本なんですよね。だからドルを稼ぐ力を奪うと。チャイナとアメリカの世界覇権をめぐる戦いの一局面なんですよ。軍事と経済が分かれているわけでもないし、貿易摩擦というような小さな視点ではとてもわかんないことなんです。そういう戦いを今やっていると。で、アメリカは一歩も退かないでやります。

で、日本人がまだよく分かってないのは、アメリカはチャイナを叩くのは本気です。真剣でとことんやります。このことが理解してないと日本の企業なんかもとんでもない火傷を負うことになります。今、トランプ政権とかアメリカ側から見れば、チャイナに味方するってのはアメリカに反抗するってことだぞって事なんですよね。

アメリカではNDAAってのがあって、国防権限法という風に訳されておりますけども、ナショナル・ディフェンス・オーソライゼーション・アクトってのがあって、議会が作ってトランプが8月13日に署名して決まりました。これはチャイナに対してどういう政策をとるべきだってことをはっきり書いてある。相当強硬ですよ。国を挙げてですね、違法行為をやっているチャイナに対して、国を挙げてアメリカも対抗しなきゃいけないんだということね、をはっきり言ってます。それでもってその、孔子学院なんかに対する言及もある。今アメリカはチャイナからアメリカに入ってくる留学生の数まで絞ってます。ビザも今まで数年間のビザを与えてたのを1年ごとの更新にしてるし、それから別の面ではウイグル人弾圧をやったということを理由に、チャイナの政府高官に経済制裁をかけると。個人的経済制裁をかける。

それからチャイナがロシアのスホーイ35とかS400っていうミサイルを買ったと。地対空ミサイルを買ったと。その決断をした個人、それからそのチャイナの軍の装備部門ですね、それ自体が会社みたいなもんですから、それに経済制裁をかけるということまでやってるんですよ。個別で。で、ウイグル人の人権弾圧をやったということで、それに対する経済制裁も、今検討中と。だから総力戦になっている。

(後略)

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