奥山真司の地政学・リアリズム「アメリカ通信」より文字起こし。
元動画:リベラルが『アホ』なのは世界共通??~安全保障が欠落した世界観と戦略の階層~|奥山真司の地政学「アメリカ通信」
※文字起こしは不正確な可能性があります。
和田:じゃあ次、「なぜリベラルは外交・安全保障に弱いのか」(注:POLITICOの記事)。これ自体がポリコレみたいな話ですね。
奥山:これね、結構批判されています。実際これのアレ見たら。ただ、これ安全保障やっている人間からするとその通りだという意見がやっぱり多くてですね。現在、アメリカではトランプが今すごくやばい状態になっているじゃないですか。選挙対策委員会のトップだった人間が今ゲロを吐くと。もう逆に司法省の方に協力をして、トランプのとにかく金庫番やってたわけですよ、彼、選挙で。ポール・マナフォートって奴なんですけど。そいつが捕まった後に、全部の罪を認める代わりに司法取引して、自分の罪を軽減してもらう代わりにトランプに関しては書類も持っているもの全部出します。相当、だから、トランプね、毎週、我々「トランプやばい、トランプやばい」って言ってますけど、いよいよ本格的にこれって言う・・。これ何か毎週言っているような気がする(笑)。
和田:オオカミ少年みたいな感じですか。
奥山:これね、僕だけの話じゃなくてアメリカの方の普通のニュースのキャスターが毎週「いやー、これまでにないことですって、我々毎週言ってません!?」みたいなこと言ってるんですよ。
和田:やっぱり。
奥山:言ってます、言ってます。unprecedentedってずっと言ってますよね。確かにそういう状況なんですよ。本当にわかんない。で、そういう状況の中でですよ。左派が、NHKなんかも特集しているの僕も見てびっくりしたんですけど、ニューヨークとかそういうリベラルな所で、一時的にトランプに2016年の大統領選挙で負けたリベラルが、今だんだん力を付けてて、現在のところですね、これ11月に選挙出るって言ってるんですけど、左派の民主党の方が今支持率の方が10%くらい勝ってる状態なんですよ。そうすると下院で完全にトランプが負けるという・・
和田:ちょっときついね。議会。
奥山:議会がやられるときついじゃないですか。で、そういう形でなってるんですけど、問題はですね、左派の方が盛り上がってると、左派の方から候補者が出てくるじゃないですか。その候補者に「じゃあ、あなた、トランプがこういう風な外交やってますけどどうですか?」って言うと「我々実はそういう地政学的な話はしません」みたいな事言ったりとかして、結構その左派側が外交安全保障語らないっていう状況があるらしいんですよ。で、それに危機感を覚えた左派の外交系の人たちが、「これじゃ問題じゃないですか。我々左派は全く安全保障とか外交に関して発言できてない。これは問題だ」ってことでいろいろ出してるんですけど、結局弱いんですよ。
なんで弱いのかって話をこの(記事の)中で言ってるんですけど、例えばですよ。国防軍事力。ありますよね。これ基本的に削減なんですよ。だから軍備縮小の話しかできないから、「縮小したらどうなるの?」って話とかはないんですね。もう一つ、核兵器。とりあえず核廃絶ってみんな言うんですよ。日本もそうですね。日本の左派の人たちってとにかく核廃絶だって言うんだけど、廃絶した後のあなた、どうやってやるの?とか、その話はしないんです。プラクティカルな話ができない。
和田:確かに。
奥山:三番目。独裁国家に対してどう対抗するんですかと。例えばプーチンとか中国いるじゃないですか。これに対してどう対抗するんですかって言ったら、大体、左派の人たちは彼らとね、多国籍で国連という場を通じて、多角的になんとかやって、彼らと交渉してなんとかしますっていう話しかしない。
和田:絵空事ですね。
奥山:結構その独裁国家に対して問題はですね、独裁国家と仲良くしようっていう人たちもいるんですけれど、じゃあそれによって犠牲になる小国、例えば台湾とか、日本にとっての。どうそれに対して対抗してあげるんですかって、何も言えない。
和田:ウイグルとかね。
奥山:で、もう一つ。国際的な格差の是正とか、大国と小国の間で経済格差があるって言うんですけど、じゃあそれどうやって直すんですかっていうと、無い。
和田:石破茂がですね、今回も地方との格差を無くそうみたいな、地方創生だと。で、農業に従事している人を増やそうと。若者の所得を上げなきゃいけないとか。じゃあどうすんの?と。
奥山:一言も言わない。
和田:一切言わない。
奥山:僕も、ちらちらっと見たんですけど石破さん何か痛いですね。
和田:石破はやばいよ。全てで負けてるからね。顔でも負けてるでしょ?
奥山:顔はまぁ、措いておいてですよ。顔はいいじゃないですか、別に。猫が騒ぐとかね、いろいろあるみたいですけれど。もう一つ、IT企業と中国の話ですよ。グーグルとかフェイスブック、今中国におもねり始めているじゃないですか。それに関して「お前ら何かグーグルとかに言わないの?」って言ったら、やっぱり左派の方はあんまり無いんですよね。基本、中国に対して言わないですよね。はい。ということなんですよね。
Rogue Monkさんって方が僕のツイッターでもこの記事読みましたと。確かに世界観が違うと。戦略の階層で言うところの世界観が違うから、リベラルの中にはそもそも安全保障が入ってないんじゃないかって事を言ってくれたんです。
和田:このね、世界観の中にリベラルの人たちの中には安全保障が無いと。大戦略に無いと。だめじゃん。
奥山:僕は、どちらかというと戦争の話に限定するんですけど、リアリスト入門、あちらの方でも言ってる話なんですけど、リベラルの人たちって基本的にそもそも、その国際関係論みたいな形で議論が出てきた時に彼らの質問がこれなんです。彼らのテーマがどうやったら戦争を防げるかなんですよ。わかります?リベラルの人たちってどうやって戦争を防ぐのかって事しか考えてないよ、基本的に。出発点がそこなんですよ。戦争を防ぐにはどうしたらいいかっていうと、普通にリベラル的に考えると、じゃあ国連を作りましょうとか、対話の場を・・
和田:国際協調。
奥山:そう。国際協調とか経済相互依存みたいなことを言うわけですよね。
和田:北朝鮮にね、あのホットラインの事務所を置きましょう。石破が言ってることね。
奥山:そんな感じ。
和田:石破が言ってる。北朝鮮に事務所を置きましょう。
奥山:酒をくみかわすとかね。もう戦争を防ぐというところしか意識いってないんですけど、リアリズム側とか保守側っていうんですかね。そこの辺は、出発点が全く違くて、その原因を探るんですよ。リアリズムの方って「なぜ戦争が起こるの?」って原因を調べているんですよ。原因があれば、それに対して対処法が出てくるじゃないですか。ところがリベラルの方はとにかく戦争ダメだから防ごうっていうことになってるんで、対処法が柔らかいものしか出てこないっていう話なんですね。ここだと。僕は根本的な質問の違いだと思います。
和田:まぁ、確定しているのは、リベラルがアホなのは世界的な傾向だと。
奥山:僕はアホとは言わないですよ。彼らは彼らなりに、その生きる道があるわけですよ。
和田:安全保障と相性が悪いというレベルじゃないでしょ。
奥山:とにかく僕はね、リベラルの人たちって国内問題専門だって思ってるんですよ。国際問題とかあんま関心が無いっていうか、関心がいってないのかなっていうのはちょっとありますね。日本国内で全て解決するっていう形じゃないですか。そうすると9条守ってると絶対に戦争起こらないっていう、それ国内だけの話であって、相手の国のことは考えてないわけですね。
和田:そろそろはっきり言ったらいいんじゃないですか?リベラルそのものは弱者を振る舞って戦う人間の政治の道具じゃないの?と。
(後略)